アウディは11月18日(現地時間)、アメリカのドリフト選手 ケン・ブロック氏がラスベガスをBEV「S1 e-tron quattro Hoonitron」でドリフト走行する映像「Electrikhana」が、YouTubeで450万回以上の再生回数を記録したことを明らかにしました。
S1 Hoonitronのデザインは、伝説的なラリーマシンであるAudi Sport quattro S1をモデルにしていますが、技術的には、市販モデルおよびモータースポーツ用の電動駆動システムが搭載されています。
開発チームは、プロジェクトの発足から8か月以内に、Audi S1 Hoonitronの最初のテスト走行を行い、ケン ブロックと彼のチームのために撮影準備を整える必要がありました。そのため、このプロジェクトは、ネッカーズルムのAudi SportチームとAudi Designチームにとって、非常にやりがいのある仕事となり、その結果は想像以上のものでした。3週間前にElectrikhanaが公開されて以来、何百万人もの人々が、ラスベガスの市街地、カジノ、駐車場で、ケン ブロックがS1 Hoonitronを思いのままにドリフト走行させる映像に魅了されました。
過去に例のないアウディのレースカーのテクノロジー&スペック:
非常にバランスの取れた重量配分と寸法
・前後重量配分は52:48とほぼイコール。
・ホイールベースは2.4m未満で、アウディのエントリーモデルAudi A1 Sportbackの2,563mmよりも大幅に短くなっています。これにより、コーナリング時の俊敏性が向上しています。この短いホイールベースは、ヨーイング(垂直軸を中心とした回転運動)に有利に働き、Electrikhanaでのドリフトシーンに最適です。
・フロントおよびリヤアクスルにマクファーソンストラットを採用し、スプリングストロークが200mm以上のサスペンションを組み合わせることにより、ジャンプシーンを含む過酷な走行に対応できるようになっています。
・この基本コンセプトにより、Audi S1 e-tron quattro Hoonitronは、様々な状況におけるドリフトおよびスタント走行に理想的なキャラクターを備えています。
電動駆動システム – MGUユニットを2基搭載
・電気自動車Audi S1 e-tron quattro Hoonitronは、電動4輪駆動システムを搭載しています。フロントおよびリヤアクスルは、それぞれモータースポーツから技術的なフィードバックを受けたモータージェネレーターユニット(MGU)によって駆動されます。
・これら2つのユニットの1基あたりの重量は、トランスミッションを含めてわずか55kgです。
・アウディの市販PHEV用の高電圧バッテリーが4台搭載され、駆動システムに電力を供給。各バッテリーの容量は14.4kWh、合計容量は57.6kWh、作動電圧は800Vです。
完璧なパフォーマンス – 十分なトルクとパワー
・フロントおよびリヤアクスル間のパワーは、完全に可変配分です。それにより、ドライバーのニーズを完璧に満たし、非常にニュートラルなステアリング特性を実現します。
・各MGUは250kWの最高出力と320Nmの最大トルクを発生。その結果合計出力は500kW、合計トルクは640Nmです。
・電気モーターの最高回転数は28,000rpmで、エンジニアリングチームはドリフト走行用に、約12:1のギア比を設定しました。これにより、パワー損失を考慮しても、前後アクスルに伝達されるパワーは合計で約3,000Nm、トルクは6,000Nmとなります。
・この強大なトルクにより、ケン ブロックによる素晴らしドリフト走行が可能になり。最高速度は200km/h以上に達します。
・上記の機能を組み合わせ、特別な目的を持って製作されたこのマシンは、アウディの長いモータースポーツ史の中でも極めてユニークな存在となっています。