北海道の上士幌町は、ソフトバンク株式会社の子会社である BOLDLYなどの協力の下、自動運転バス「NAVYA ARMA(ナビヤ アルマ)」(仏 Navya 社製)を 1 台導入し、2022 年 12 月 1 日から定常運行を開始しました。
北海道で自動運転バスが定常運行されるのは、これが初となります。まずフェーズ 1 として、 12 月から自動運転レベル 2 での定常運行を開始し、次にフェーズ 2 として、2023 年度中(予定)に自動運 転レベル 4での運行へ移行して、日本初となる市街地でのレベル 4 の自動運転サービスの実用化を目指します。
人口減少などを背景に既存の公共交通の維持が難しくなる中、誰もが利用できる定時・定路線の町内循環バスとして自動運転バスを運行することで、住民の外出機会を創出して地域活性化や健康増進につな げるとともに、持続可能な公共交通の実現に向けて取り組みます。
上士幌町は、これまでに自動運転バスの実証を 4 回行い、BOLDLY はその全てに参画しました。2021 年 12 月に実施した実証実験では、必要な対策を行うことで雪や氷点下の環境でも安全に運行できることを確認しました。定常運行では、当面の間、町役場や病院、道の駅、交通ターミナルなどの主要施設を結ぶ 1 周 約 3.5km のルートで、自動運転バスを 1 日に 4 便運行します。
フェーズ 1 では、既存のコミュニティバ スを運営する地域の交通事業者が自動運転バスの運行業務を担い、セネックが、BOLDLY の運 行管理プラットフォーム「Dispatcher(ディスパッチャー)」を使って茨城県境町の遠隔監視センターで自 動運転バスの遠隔監視を行います。BOLDLY は、自動運転バスの運行管理やメンテナンスなどの主要業 務を地域の交通事業者が行えるように支援する方針です。そのプロセスにおいて、当初は BOLDLY や株式 会社セネックが支援し、将来的には地域の交通事業者と連携しながら最適な運行体制を構築していきます。
上士幌町は、町役場から半径 1km 以内に主要な施設や住宅が密集するコンパクトな町づくりを推進してお り、自動運転バスの導入によって移動の利便性が大きく向上する他、地域公共交通に関する課題解決に寄与 することが見込まれます。また、道路の幅が広く、町内に十分な駐車場があることから路上駐車が比較的少ないなど、自動運転バスの走行に適した環境です。今回の定常運行に向けて、2022 年 11 月に実施した運行 ルート上での試験走行では、信号がある交差点を除いた区間において、車内のオペレーターがコントローラ ーを一切操作しない「無介入」での自動走行を達成しており、レベル 4 による自動運転サービスの早期実 用化が期待できます。上士幌町と BOLDLY は、今後、住民のニーズを踏まえて自動運転バスの停留所の数 やルートを順次拡大し、日本で最も高密度な公共交通の構築を目指すとともに、住民の移動手段を確保する ことで、運転免許の自主返納者を含めて誰もが生き生きと住み続けられる地域の実現に向けて取り組んでいきます。
