KDDIがWILLERと組んでエリア限定乗り放題サービス「mobi」を2022年1月より開始する。1回乗車は大人300円だが、30日間で5000円の定額プランも存在する。家族を一人あたり500円で追加もできる。
個人的には5歳の子供がいて、さらに昨年冬に妻が膝の手術をして、動きが鈍くなった。我先にと走る5歳児、歩くスピードが遅い妻という間に挟まれ、移動するのとがとても困難になった1年であった。そこで、自家用車を購入したのだが、もっと早くこうしたモビリティサービスが欲しかった。
雨が降っているときなど、子供のお迎えにも使えそうだし、実家には年老いた両親も存在する。父親はすでに免許を返納したが、母親はいまだにクルマに乗って買い物に出かけている。近所にスーパーはなく、クルマに乗らなければ、買い物難民になってしまう。まさに「mobi」は全国で求められているサービスなのだろう。
2社の合弁会社である「Community Mobility株式会社」が全国津々浦々に進出する可能性もあるだろうが、アプリや配車プラットフォームだけを全国展開し、実際のクルマの運行などは地元のタクシーやバス会社に任せてしまうというのもあり得るのではないか。
Community Mobility株式会社が全国に進出するとなれば、地元のタクシー会社からの反発は必至であり、上手くいくわけがない。プラットフォームだけを提供し、それを生かしてタクシー会社やバスはクルマの運行を担当すれば、お互いのメリットは大きいはずだ。
いちいち、電話でタクシーを呼ぶのは効率が悪い。アプリでタクシーを呼んだとしても高額だ。こうした複数人が乗るクルマであればコストも安くなるし、シニアであれば、目的地は同じ病院だったりするので効率的な運行が可能だろう。
発表会では「RESPECT YOU,au」というフレーズが強調されていた。mobiだけでなく、今後、様々なパートナーと組むサービスで使われるようだが、KDDIとしては、地方で運行を担うタクシーやバス会社も「RESPECT YOU」しているといいたいのだろう。
問題は車体に「au」というロゴがついていると、auユーザーしか使えないという印象を持たれがちになるという点だ。
その点、高橋誠社長に確認したところ「あくまでオープンなサービス」という位置づけであるのは変わりないが、一般のユーザーからすると「ドコモユーザーは使えないのではないか」という印象を持たれそうな感がある。
auユーザーだけを対象にしていたら事業として成立しなくなるが、一方で、auユーザーのことも大切にしたい。
各キャリアとも非通信分野の開拓に熱心ではあるが、どれくらい通信ブランドをアピールするか、各キャリアとも悩ましいのではないだろうか。
メルマガ「石川温のスマホ業界新聞」 2022年12月25日号より転載