株式会社人機一体は、力制御技術やパワー増幅バイラテラル制御技術を中心とした先端ロボット工学技術の知的財産を活用して油圧フリー完全電動重機を創出する「人機ショベル社会実装プラットフォーム」構想を発表。人機ショベル 社会実装プラットフォームの基本コンセプトを示す、油圧フリー完全電動重機 PoC 試作機「人機ショベル ver.1.0」を、2022/03/09-12 に東京ビッグサイトで開催された 2022 国際ロボット展にて初公開しました。
人機ショベル ver.1.0 は福島イノベーション・コースト構想による「地域復興実用化開発等促進事業費補助金」の支援を受け、福島県南相馬市にある「人機一体福島基地」において開発されています。
人機一体は、金岡博士の理念と先端ロボット工学技術をコアに、パワー増幅バイラテラル制御システムとしての「人機」を開発・社会実装することにより「あまねく世界からフィジカルな苦役を無用とする」ことを実現する立命館大学発ベンチャー企業です。人機一体は、先端ロボット工学技術に基づく新規事業開発支援のための知的財産活用サービス（知的財産を活用したロボティクス製品化コンサルティング事業）である「人機プラットフォーム」を運営し、先端ロボット工学技術を広く社会に実装することにより、人の危険作業や重労働の機械化を進めます。
昨今、世界的に SDGs の観点から、機器の電動化は抗いがたい大きなトレンドとなっており、重機・建機（以下、総称して「重機」という）の分野でもそれは例外ではありません。これまで誰も実現できていなかった重機の油圧フリー完全電動化を実現することができれば、地球環境保全および働き方改革への大きな貢献となり、新規市場が期待されます。
PF09 人機ショベル社会実装プラットフォーム
人機ショベル社会実装プラットフォームとは、人機一体が運営する人機プラットフォームの中で、既存の油圧重機を油圧フリー完全電動化し、さらに先端ロボット工学技術を導入した「ロボット重機」を広く普及させることを目的として組成されました。
人機一体独自の力制御技術およびパワー増幅バイラテラル制御技術により、パワーショベルに代表される多種多様な重機の油圧フリー完全電動化、すなわち油圧駆動系を一切持たない電動化を実現し、人機一体の持つ多種多様な先端ロボット工学技術を適用可能なロボット重機を社会実装します。
人機ショベル 開発の経緯
PF09 人機ショベル社会実装プラットフォーム では、先端ロボット工学技術の実装による油圧フリー完全電動重機の社会実装に、人機一体と共に本気で取り組んでくださる企業様を募集しています。そのためには、人機一体が提唱する油圧フリー完全電動重機のコンセプトを可視化する必要があります。
また、以下のプレスリリースで告知したとおり、PF03 人機並進駆動ユニット社会実装プラットフォーム が始動し、油圧フリー完全電動重機に適した力制御電動シリンダである「人機並進駆動ユニット」の開発の目処が立ちつつあります。
参考プレスリリース：
【告知】新明工業 × 椿本チエイン × タダノ × 人機一体 の４社による
「人機プラットフォーム」を活用した力制御電動シリンダ「人機並進駆動ユニット」
開発プロジェクトが始動します
人機並進駆動ユニットは、人機一体の独自力制御技術「プロクシベースト・アドミタンス制御（PBAC）」を実装することで、強力かつ緻密な力制御が可能な電動シリンダです。力に関して広く安定なダイナミックレンジを持ち、耐衝撃性に優れ、油圧シリンダの完全電動化を可能とする次世代の基盤技術です。
人機並進駆動ユニットのブルーオーシャン市場の一例として、そして人機一体が示す油圧フリー完全電動重機のコンセプトモデルとして、油圧フリー完全電動重機 PoC 試作機である人機ショベル ver.1.0 を開発することとしました。
人機ショベル ver.1.0
正式名称 = 人機ショベル ver.1.0
正式名称読み = じんきしょべる ばーじょん 1.0
英語正式名称 = JINKI excavator ver.1.0
人機ショベル ver.1.0 は、PF03 人機並進駆動ユニット社会実装プラットフォームにおける社会実装コンセプトとしての PoC 試作機であるとともに、PF09 人機ショベル社会実装プラットフォームにおける原理試作としての PoC 試作機でもあります。
人機ショベル ver.1.0 には油圧シリンダは使われていません。代わりに電動シリンダである人機並進駆動ユニット ver.4.0 が組み込まれています。つまり、油圧フリー完全電動パワーショベルの PoC 試作機であり、次世代重機の方向性を示す革新的なロボット重機です。
油圧駆動系を一切持たない油圧フリー完全電動化により、以下のような利点があります。
- 低騒音
- 排ガス無（酸素を消費しない）
- 油漏れ無、油圧配管メンテナンス不要
- アイドリング不要で省エネ
これらは、油圧系をなくすことによる一般的なメリットです。
さらに加えて、人機一体の油圧フリー完全電動化の最大のメリットは、
力制御電動シリンダ「人機並進駆動ユニット」による先端ロボット工学技術の実装（先端ロボット工学技術のハードウェアプラットフォームとなる）です。
人機ショベル ver.1.0 ではこのメリットを活かし、人機一体のパワー増幅バイラテラル制御技術である「力順送型バイラテラル制御」が実装されています。これによって、作業中のショベルが感じた「力」を操作者も感じながら、直感的かつ器用に操作することが可能です。
