フォルクスワーゲングループでソフトウェア開発を担当している子会社「CARIAD」は、スペイン・バルセロナで開催されたMWC Barcelona 2023に出展。協業しているハーマンブースにて、同社の最新デジタルコックピットを展示していました。
最大の特徴は「グループアプリケーションストア」を搭載していること。サードパーティー製のアプリがインストール可能となり、スマートフォンと同じ感覚で車内のデジタルコックピットを使えるようになります。展示されていたデモ機では、Spotifyで音楽を聴いたり、カラオケを歌ったり、ゲームを楽しんだりといったことが可能でした。
またシステムとしては、7月からはAndroid Automotiveに切り替え予定とのこと。そのためAndroidアプリを作っていたメーカーなら、移植がしやすい状況になるとのことです。
さらに、ユーザーはCARIADが開発した独自のアプリも利用できます。例えば、車両からデータを読み取り、ユーザーのサービス時期を判断する「プレディクティブ・メンテナンス・ソリューション」があります。ユーザーの希望する販売店への予約を積極的に提案し、ユーザーはそれを確認することができます。
グループアプリケーションストアでは、インフォテインメントシステムをより機能的にしています。ダッシュボードはカスタマイズが可能で、ウィジェットをクリックしたりドラッグしたりすることで、ユーザーが自由にコンテンツを構成することができます。例えば、ナビゲーションシステムの隣にSpotifyのプレーヤーを配置し、外出先で曲を素早くスキップできるようにすることもできます。
ユーザーには、地域ごとの体験が提供されます。たとえばアメリカのユーザーは、インフォテインメントシステムにイギリスのラジオ局のアプリがたくさん入っていても役に立ちません。このように、グループアプリケーションストアでは、グローバルなソリューションを提供するだけでなく、ユーザーに合わせた個別のソリューションを提供します。
グループアプリケーションストアは、地域別だけでなく、ブランド別にも対応しています。CARIADはストアのプラットフォームを開発していますが、フォルクスワーゲングループの各ブランドは、自分たちのクルマに搭載するコンテンツやその表示方法をコントロールすることができます。また、ユーザーインターフェースのデザインも、各ブランドが責任をもって行います。そのため、CARIADがボンネットの中に入っていても、AudiはAudiらしく、PorscheはPorscheらしく見えるので、ユーザーは安心して利用できます。
グループアプリケーションストアは、アウディが最初に2023年7月以降、一部の車両でこのストアを提供予定となっています。ポルシェはそのあとに続く予定です。このソリューションは、同社のOne.Infotainmentシステムの一部であり、次世代AudiとPorscheのモデルが構築されるプレミアムソフトウェアプラットフォーム1.2の一部でもあります。
統一された拡張性のあるソリューションとして、グループアプリケーションストアは徐々に展開され、フォルクスワーゲングループの全ブランドの車両に導入される予定です。また、機能面でも、サービスの追加やファンクションオンデマンド、照明など車内のアクチュエーターを活用したより没入感のある体験など、拡大していく予定です。また、サードパーティーのアプリやCARIADが提供する革新的なサービスなど、無線アップデートにより、車内での体験は常に改善され、常に新鮮なものとなります。