- エレクトリック・ケータハム・セブンは、未来のバッテリーEV ケータハムを紹介する技術開発コンセプト
- 既存のセブンアーキテクチャーを使用し、最先端の電池技術と組み合わせたライトウェイトコンセプト
- EV セブンは、20 分間走行した後、15 分間で十分なエネルギーを充電し、さらに 20 分間走行することができる、20-15-20 サーキット走行のサイクルが可能
- EV セブンは、ベースとなる現在の市販のセブンに比べてわずか 70kg 弱の重量増となる軽量化を実現、152kW の急速充電に対応する 51kWh の液浸冷却式バッテリーパックを採用
- EV セブンは、1990 年代初期のセブン JPE のエンジン開発者であるスウィンドン・パワートレイン社との共同開発
技術開発コンセプト「EV セブン」
英国ケータハムは2023年5月24日、将来の完全電気自動車セブンのための技術開発コンセプト「EV セブン」を発表しました
このコンセプトは、軽量な電気自動車の実現可能性を検証するもので、ケータハムは、ガソリン車と同様にドライバーに焦点を当てたバッテリー電気自動車を市場に投入することに一歩近づくことができます。
EV セブンは、公道用およびモータースポーツ用の先進的で頑強なパワートレイン開発のリーダーであるスウィンドン・パワートレイン社と共同で開発されています。EV セブンは、大型のセブンシャシーをベースに、スウィンドン・パワートレイン社 による専用 E Axle を採用し、液浸冷却式バッテリーパックを組み合わせています。
バッテリー液浸冷却は、ケータハムの長年の技術パートナーである MOTUL が供給する誘電性流体を使用し、バッテリーセルに直接接触させることで、最適な熱管理により充電速度の向上とバッテリー寿命の延長を実現します。この最新技術は、バッテリー電気自動車では最先端であり、これまでは膨大な熱量を発生するスーパーコンピューター等の冷却に使われることが一般的でした。
ケータハムの CEO であるボブ・レイシュリーは、次のように述べています:「私たちが将来生産する EV モデルは、ケータハムの DNA である、軽量で、fun-to-drive、ドライバーに焦点を当てたものでなければなりません。このプロジェクトの主な目的は、従来のセブンに比べて乗客一人分の重量差しかない車両を開発することです。1 トンのセブンを発売することは決してありませんし、むしろやりたくありません。」
EV セブンは、公道でもサーキットでも使えるものでなければなりません。後者では、20-15-20 サーキット走行のサイクルが繰り返し可能な事、つまり、20 分間サーキットを走行、15 分間で十分なエネルギーを充電し、さらに 20 分間走行できる能力を意味します。
「日曜の朝のドライブを楽しむことができる EV セブンの実現は、現在のバッテリー技術でも十分可能です。
しかし、課題はエネルギー消費量が大幅に増加するサーキットでの使用です。現時点では、サーキット走行時に求められる急速な充放電に対応するためには、バッテリー液浸冷却が最適なソリューションの一つです。」とレイシュリーは付け加えています。
EV セブンは、ベースとなる市販のセブン*からわずか 70kg の重量増(総重量 700kg 弱)となっています。51kWh の液浸冷却式バッテリーは、エンジンルームとトランスミッショントンネルに収納され、最大152kW の DC 急速充電が可能です。実用可能な容量は約 40kWh で、サーキットでの過酷な使用や急速充電にも劣化することなく、安全に使用することができます。
このコンセプトには、HPDE シリーズをベースにしたスウィンドン・パワートレイン社の E Axle の専用バージョンが採用されています。240bhp/9,000rpm、瞬間最大トルク 250Nm を発生します。これにより、0-60mph のタイムはおよそ 4.0 秒が見込まれます。パワートレインは、Seven 485/480 の性能特性に対応するように設計されており、EV セブンが ICE モデルと同様のドライバビリティを共有できるようにしています。
EV セブンには、リミテッド・スリップ・デファレンシャル、セブン 420 カップのビルシュタイン製アジャスタブルダンパー、回生ブレーキ、4 ピストンブレーキキャリパーも装備されます。
「現段階では、EV セブンをこのままの形で生産する計画はありません。このプロジェクトは、EV パワートレインがお客様の個々の使用ケースに対してどの程度有効なのかを確認するためのテストベッドです。軽量でシンプル、そして fun-to-drive という、セブンに必要なケータハム車特有の車両特性を実現する方法を学ぶために、私たちは大きく目を見開いてこのプロジェクトを進めています。私たちは、次世代のバッテリー技術が可能にする将来の適切なタイミングで、この車両を市場に投入するつもりです。だからこそ、今がこのコンセプトを試す時なのです。」と、レイシュリーは付け加えています。
スウィンドン・パワートレイン社のマネージング・ディレクターであるラファエル・カイレは、次のように述べています:「1990 年代初期に JPE(ジョナサン・パーマー・エボリューション)エディションのセブンに搭載されたボクスホール製エンジンを開発して以来ケータハムとのパートナーシップは 30 年以上続いています。そしてこのエキサイティングなプロジェクトを通じて、今後もパートナーシップを継続できることにワクワクしています。
車体の軽量化や充電速度の目標は、間違いなく野心的なものでした。しかし、最先端の液浸冷却式バッテリー技術と独自のパワートレイン部品を使用することで、独自のコアバリューを維持した電気自動車セブンを開発することができたのです。」
EV セブンコンセプトは、今年 7 月に英国で開催されるグッドウッド・フェスティバル・オブ・スピードで一般公開されます。ケータハムは、EV セブンとは別に完全電気自動車のスポーツカー・コンセプトも開発しており、本年発表する計画です。このプロジェクトのデザインは、ブランドの新しいチーフデザイナーであるアンソニー・ジャナレリが主導しており、今後数ヶ月のうちにさらなる詳細を公表する予定です。
EV セブン仕様
車両 ケータハムEVセブン
モーター 専用スウィンドン社 HPDE E Axle
トランスミッション シングルスピード、専用レシオ2ステージリダクション
ファイナルドライブ リミテッド・スリップ・デファレンシャル
バッテリー 51kWh(40kWh 実用可能)ー 液浸冷却式バッテリー
チャージング 最大152Kw DC急速充電
シャシー 大型シャシー
ディメンション 全長:3,350mm、全幅:1,685mm、全高:1,115mm
最高出力(bhp / rpm) 240bhp @ 9,000rpm
最大トルク(Nm / rpm) 250Nm @ 0rpm
重量 700kg未満
パフォーマンス(0-60 mph) 4.0秒(見込み)
パワーウェイトレシオ 340bhp/トン
最高速度 209km/h(見込み)
サスペンション ビルシュタイン製アジャスタブル(420カップより)
ホイール 13インチ Apollo ブラックアロイ(フロント6”、リア8”)
タイヤ AvonZZR
ブレーキ 4ピストンキャリパー付ベンチレーテッドディスク
ステアリング ラック&ピニオン、ロックトゥロック1.93回転
*Seven 485/480(SV)は欧州・日本市場のみで販売されており、ベンチマークに使用されている現行生産モデルです。