第4回:HVとは「同じHVでもメーカーによって技術が違う」

 HVとはハイブリットの略称で、エンジンと電気モーターを組み合わせて走行するクルマのことを言います。しかし、この組み合わせの仕方はメーカーなどによって異なります。いかにエンジンと電気モーターを組み合わせ、「低燃費」かつ「走りの楽しさ」を提供するかが、各自動車メーカーの「腕の見せ所」と言えるでしょう。

最も古くハイブリッド車を量産し、成功を収めているのがトヨタ自動車です。1997年に初代「プリウス」を発売し、ハイブリッド車の代名詞と言える存在となっています。

トヨタのハイブリッドは「THS(THS II)」という方式で、エンジンの回転とモーターの回転を状況に応じて、連続的に混合させて走行します。実際にプリウスを走らせると、めまぐるしくエンジンとモーターが切り替わるのが画面上でわかります。

この制御は非常に複雑で、他社が真似するのはなかなか難しいとも言われています。

欧州が、こぞって「環境を守るべき」として「電気自動車を導入すべき」という論調になっているのは「ハイブリッドでトヨタに勝てないから」とも言われています。

環境面を配慮すると、ハイブリッド方式でも充分なのですが、それでは欧米の自動車メーカーが世界で売れなくなってしまいます。そこで、欧州などはハイブリッド車を排除し、電気自動車(BEV)だけを認めることで、自分たちの居場所を確保しているのです。

その点をよくわかっており、環境面においてもハイブリッド車で充分、対応できると踏んでいたからこそ、トヨタ自動車の豊田章男社長はBEVにはあまり関心を示さず、ハイブリッドや燃料電池車のほうに注力していたのでした。しかし、欧州が本気でハイブリッド車を排除しようという雰囲気を察したようで、2021年12月になって「トヨタはBEVも本気だ」とアピールし始めたのでした。

1997年発売の初代プリウス

一方、日産が採用する「e-POWER」は、シリーズハイブリッド方式と呼ばれています。

エンジンは発電だけを行い、電気モーターがその電力を使って走行します。

発電時mにはエンジン音がするものの、走行自体はBEVのような反応となります。ワンペダル運転として、アクセルペダルを緩めると減速するといった、BEVのような走りができるのが魅力です。

トヨタの方式に比べてシンプルな構造で、幅広い車種に採用できるのが特徴です。ただ、燃費においてはトヨタの方式にはかないません。

日産「ノート e-power」

ホンダの「e:HEV」はシリーズハイブリッドのようにエンジンは発電に徹し、走行は電気モーターを使いますが、高速巡航など、エンジンで走行した方が効率が良いときだけ、エンジンに切り替わります。

一方、アクセルとブレーキが頻繁に入れ替わる一般道などではBEVのように電気モーターのみの走行となります。

ほかにも「マイルドハイブリッド方式」と呼ばれているものもあります。電気モーターはエンジンの回転をサポートするだけであり、電気モーターだけでは走行しないというものです。燃料の消費が多くなる加速時にはエンジンを助け、減速時にはエネルギーを回収などの効果が期待できます。

低コストで部品も少ないため、軽自動車などにも採用が進んでいます。

ワゴン R スマイル HYBRID X

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MobiliTech編集部

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