Googleマップとスマホの組み合わせは旅行に最強のツールだと思う。
出張や旅行で初めて訪れる街であっても、行きたい場所にどうやっていけばいいのか、簡単に検索して、すぐに移動できる。電車に乗るのはなんとかなったとしても、スマホが無かった頃は、特にバスが難しかった。どこのバス停から乗ればいいのか、何というバス停で降りればいいのか、旅行者には全くと言って理解できなく、「知らない場所まで行って、帰ってこられなかったどうしよう」と怖くてバスなんて乗れなかった。
しかし、Googleマップとスマホがあれば、バス停の位置や時刻表はわかるし、どのバスに乗ればいいかも一発で検索できる。バスに乗っている際も、Googleマップを起動しておけば、現在地がわかるので、あといくつバス停を通過すれば降車ボタンを押せばいいかもわかる。旅先での移動が本当に楽になった。
ただ、Googleマップもすべての人に対して「最強のツール」というわけではない。車いすの人にとっては、まだまだ情報が足りていないようだ。
そんななか、札幌市と全日本空輸、ANAあきんどは、9月4日に「WheeLog in 札幌」という車いす街歩きイベントを開催した。
ANAでは「Universal MaaS」として「誰もが移動をあきらめない世界」の実現を目指している。
ANAのサイトやアプリでは、飛行機を予約した際、出発地から空港、あるいは空港から目的地までどのように電車やバスに乗って移動したらいいかを教えてくれる「空港アクセスナビ」という機能を提供している。しかし、車いすの人などには走行しやすいルートなのか、入りやすいトイレが確保されているかなどの情報がないことには移動しにくい状態にある。
そこで、すでにWheelogという一般社団法人が、簡単に街のバリアフリー情報を入力し、シェアできるアプリ「Wheelog」というバリアフリーマップアプリを配信していることから、空港アクセスナビからWheeLogにリンクしてバリアフリー情報を見られるようにしているのだった。今回、その情報を充実させようと、車いすで実際に街を走行して、情報を集めるというイベントを実施したのだった。
全日本空輸・未来創造室 MaaS推進部、鈴木謙次部長は「Universal MaaSでは予約、キャンセルの手配、バリアフリールートの確認など、自治体など連動することで、将来的にはすべての人にシームレスな移動を提供したい」と語る。
今回のイベントでは4~5名による9つのチームが札幌で実際に半日、街歩きを行い、Wheelogに入力し、情報を充実させるという取り組みとなっていた。
街歩きにもほんの少し、同行してみたが、確かに車いすの人はトイレに行くのも一苦労な感じであった。闇雲に公衆トイレを探すのではなく、アプリで事前に調べて一直線で行けるほうがはるかに安心だ。本来であれば、自治体が情報を積極的に集めて公開するのが望ましいかもしれないが、町ごとに異なる情報が発信されても見つけるのが不可能といえる。
Wheelogのようなアプリに情報が集約されていれば、どこに行っても頼りになって便利だろう。
札幌市・まちづくり政策局、浅村晋彦政策企画部長は「札幌市を、多様性を重視し、誰もが楽しく輝いていける、心のバリアフリーを実現した、ストレスのない街にしていきたい。とはいえ、札幌市はまだまばバリアフリーが足りない部分がたくさんある。実際に街を歩いて、車いすでの移動の不便さを聞かせていただいて、街作りに生かしていきたい」と語った。
今回、札幌市ということで、地元のテレビ局も取材するなどメディアの関心も大きかったが、本来であれば、全国でこのような取り組みが広がり、バリアフリーマップが充実し、車いすの人も街歩きを楽しめる環境が整備されるのが望ましい。
Wheelogでもイベントを開催しているようだが、さらにWheelogをサポートする企業、自治体が増え、「誰にも優しい街づくり」が全国レベルに広がることを期待したい。