BYD Auto Japanは、1月31日より、日本発売モデル第1弾となるミドルサイズe-SUV「BYD ATTO 3」を発売。また、2月2日には日本1号店となる正規ディーラー「BYD AUTO 東名横浜」がオープンとなった。
BYDは世界ではEVの売上でテスラを抜きトップに上り詰めるなど絶好調だ。そんな中、日本上陸を果たしたBYD Auto Japanの今後について、東福寺厚樹社長に話を聞いた。
日本の自動車メーカーがようやくBEVに本腰を入れる中、鳴物入りで日本に上陸してきたBYD。3モデルの投入を宣言し、第1弾となるミドルサイズe-SUV「BYD ATTO 3」は440万円という価格が話題を呼んだ。
東福寺社長は「正直、400万を超えていて大丈夫かな、とは思っていたのは事実。確かにプライスで攻めるのであれば、398万円という衝撃的な価格をつけることもあり得た。しかし、正しい値段として、バリューフォーマネーを感じていただきたいというのがあった。もちろん、競合他社と比べたときに大きく見劣りしない値段という点で440万円は妥当だったのではないか。実際、多くのメディアに評価されたのは大変嬉しかった」と振り返る。
昨今、ネットでクルマを売るところが出始めているが、BYD Auto Japanでは第1号店の東名横浜を皮切りに、2025年には全国で100店舗以上の拡大を計画していく。わずかな準備期間でここまでディーラーに参加する企業が増えたというのは何か理由があったのだろうか。
「今回、パートナーになってくれそうなところにお話を持っていったのが、昨年1月ごろから。それ以降、BYD本体の成長や業績が、期待を超えるほどの推移をしていった。様々なところで、BYD本体の動きが取り上げられたことが追い風となり、多くの関心をいただけた」(東福寺社長)という。
とはいえ、BYDという会社は日本の知名度はまだ低い。関心を引いたからといって、ディーラーに名乗りを上げてもらうのは大変だったのではないだろうか。
東福寺社長は「私は元々、三菱自動車とフォルクスワーゲンにおりましたし、今、集まっているメンバーは輸入車や日本メーカーなど自動車業界の人間が集まっている。それぞれ、おつき合いしてきたディーラーさんに片っ端からメールや電話をし、興味を示してくれた方々には千葉県茂原のサーキットでの試乗会に参加してもらい、BYDの良さを知ってもらった」と語る。
ディーラー関係者を口説くことに成功できたものの、一方で、一般のユーザーにおけるBYDの認知はまだまだこれからだ。日経新聞を読むような、ビジネスパーソンであれば「中国のEVメーカー」という認識はあるだろうが、400万円を超えるクルマを買おうとする、一般の消費者がBVDというブランドをすぐに思い浮かべるのはなかなか難しいかもしれない。
そんななか、一般の消費者にBYDを知ってもらう秘策はあるのか。
東福寺社長は「やはり、そこは何か魔法があるわけではない。コマーシャルを打てさえすれば、みんなが来てくれる世界でもない。やはり、いろいろな形でイベントに出展したり、試乗会をやるなど、一目に触れる活動を地道にしていくしかない。とにかく、リアルな店舗を着々と各地に増やし、展開していき少しづつ認知をあげていく。そういうことしかないと思っている」と語る。
BYD Auto Japanは先日、幕張メッセで開催されたオートサロンにも出展している。
ようやく、第1弾モデルが発売となり、第1号店がオープンとなるなど、日本のユーザーにBYDが手に届くようになった。2023年は、BYD Auto Japaにとって、やはり「ディーラーネットワークの拡充」が急務のようだ。
東福寺社長は「すでに発表している33店舗だけでなく、100店舗以上に向けて、残りのところも現実に実行可能なプランまで詰めていきたい。もちろん、空白になっているところも、早い段階でも目処をつけるつもり。まずはディーラーネットワークをしっかりと構築することに尽きるのではないか」と語る。
街中に「BYD」の看板を掲げる店舗が増えることが結果として「ブランド認知」につながるだけに、ディーラーネットワークの拡大が急務というわけだ。