中国ネット企業大手のBaidu(バイドゥ)は2022年8月8日から中国の重慶市と武漢市で自動運転による無人タクシー「Robotaxi」の運行を開始しました。同社は今年4月に北京でも無人タクシーの運行を開始しましたが、運転手は不在ながら緊急時に備え助手席には安全担当者が乗車していました。担当者不要の完全無人タクシーは今回が中国で初めてとなります。
サービスエリアは重慶市の永川区と武漢市の武漢経済技術開発区。重慶は午前9時30分から午後4時30分まで、武漢では午前9時から午後5時まで営業を行ないます。初乗り運賃は16元(約320円)で、加算料金は1キロメートルごとに2.8元(約56円)。なお試験運転中は9割引きの料金が適応されるとのこと。
無人自動運転タクシーの最大のメリットはタクシー会社のコストの低減です。1キロメートル当たりのコストを比較すると、一般的なタクシーは約1.98元。自動運転タクシーを導入しても安全担当者を乗車させるとコストは2.2元と逆に高くなってしまいます。しかし完全無人の自動運転タクシーでは0.82元となり、従来のタクシーの約4割のコストで運用が可能になります。
安全対策の一例として、乗客が悪意を持ってハンドルを握ったりした場合は、車内のカメラがそのシーンを自動的にチェックして車を強制的に路肩に止めるといったシステムがBaiduの自動運転車には組み込まれています。自動運転車には5G通信機能が搭載され、「5Gクラウドドライビング」ソリューションにより車の走行状態は常に監視されています。Baiduは自動車のインテリジェンス、監視の冗長性、並列運転、安全な運行管理システムなど複数の手段を使用して無人車両の安全運行を実現しているといいます。
BaiduはAIと自動運転の関連特許取得数で2021年は世界1位にランクされています。2021年のBaiduの中核事業では研究開発費に収益の23%を投資しており、中国企業上位500社のトップとなりました。自動運転の総走行距離数も3200万キロメートルを超えており、この数値は今も増えています。
中国の調査会社、易観(Analysys) が6月に発表した「China Robotaxi Industry Development Insights 2022」によると、2022年の中国の自動運転タクシーの市場規模は158 億元(約3159億円)となり、タクシー市内での普及率は3%になると見込まれています。2024年から2027年の間は普及の第二段階に入り、市場規模は850億元(約1兆6996円)から1390億元(約2億7793円)へと拡大、普及率は15%から22%に増加し、2028年までの普及第三段階では1962億元(約3億9230円)、普及率30%になると見込まれています。