公取委、高速道路充電サービスの実態を調査。競争促進を求める

公正取引委員会は、7月13日、電気自動車(EV)の駆動用バッテリーが不足し走行が困難になる「電欠」を防ぐための高速道路における急速充電施設について、公正な競争を促進し、新規参入やイノベーションを後押しするための実態調査を実施したと発表した。

日本は2050年までにカーボンニュートラルを実現する方針を掲げており、2035年までに新車販売の全てを電動車にする目標が設定されている。これらの目標を達成するために、充電インフラの整備は重要な要素となる。さらに、2050年カーボンニュートラルの実現に向けて、「公共用の急速充電器3万基を含む充電インフラを15万基設置し、遅くとも2030年までにガソリン車並みの利便性を実現する」ことが政府の戦略として掲げられている。

この背景を受けて、公正取引委員会が行った実態調査では、高速道路のSA・PAに現在設置されているEV充電器の98.7%が、eMP(NCS及びJCNを含む)によって設置されていることが明らかになった。この結果、eMP以外の事業者が高速道路のSA・PAにEV充電器を設置する可能性は現時点では低いという見解が示された。

調査の結果を踏まえ、公正取引委員会は次のような提言を行った。まず、EV充電器の新規設置や入替えに際しては、高速道路会社が複数の事業者からEV充電器設置者を選定することが競争政策上望ましいとした。これにより新規参入を促進し、EV充電サービスの競争を活性化することが期待される。

さらに、我が国のEV充電インフラの整備に関する政策の在り方については、経済産業省及び国土交通省で議論を深めるべきだと指摘。公正取引委員会も競争政策の観点からこの議論に参加するとした。

そして、新規参入者が高速道路のSA・PAにEV充電器を設置する際に参照すべき法令・通達等を機構が網羅的に掲載することが望まれるとの意見も述べられた。

これらの提言は、充電インフラの整備における競争促進、新規参入の活発化、そしてイノベーションの促進といった、公正取引委員会の目指す方向性に対する具体的なアクションプランを示すものと言えるだろう。

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