日本航空株式会社（以下、JAL）と日本電気株式会社（以下、NEC）は、2025年3月17日より、羽田空港整備地区において、自動運転バスの活用に向けた実証実験を開始しました。両社は、バス運転手の付帯業務の自動化・省人化を目指し、JAL社員が関連施設間の移動で利用する業務連絡バスの一部区間において、NECの通信・AI技術を活用した自動運転業務システムおよび顔認証乗車システムの検証を行います。
近年、全国的にバス路線の維持が困難となる中、地域住民や観光客の移動手段の確保が課題となっています。こうした背景を踏まえ、JALとNECは新たな移動手段として期待される自動運転車（自動運転レベル3以上）の活用を検討してきました。
今回の実証実験では、将来的な自動運転車の社会実装に向け、ドライバーが担う運転以外の付帯業務（乗車確認や案内など）の自動化・省人化の検証も行われます。具体的には、羽田空港整備地区で運行している業務連絡バスの一部区間において、運転支援車（自動運転レベル2）を使用し、NECの世界No.1の認証精度（※2）を有する顔認証技術を活用した顔認証乗車システム、NECの遠隔システムを活用した走行状況のリアルタイム確認やバス社内外の安全確認、そしてNECの学習型メディア送信制御技術（※3,4）を活用した電波環境の悪いエリアでのリアルタイムな見守りを検証します。顔認証乗車システムは、乗車時の本人認証を実施します。遠隔監視システムは、走行状況をリアルタイムで確認し、バスの社内外の安全を確認します。学習型メディア送信制御技術は、電波環境が悪い場所でもリアルタイムでの見守りを可能にします。
※1 自動運転レベル2は、特定条件下での自動運転機能を指し、システムが縦方向と横方向の運動を制御しますが、運転の主体はドライバーです。
※2 米国国立標準技術研究所(NIST)による顔認証ベンチマークテストでこれまでにNo.1を複数回獲得。
※3 NECが開発した、車載カメラ映像を最適化し通信帯域を最大1/10に削減する技術。
※4 NECの、ネットワーク運用を自動化してローカル5G推進に貢献する学習型通信分析技術。
実証実験の実施期間は、2025年3月17日（月）から3月24日（月）まで。使用車両は、TIER IV社の「Minibus」です。
乗車の流れは以下の通りです。
- 乗車予約: JAL専用アプリケーションから乗車を予約します。
- 顔認証・乗車: 顔認証による本人認証を実施して乗車します。
両社は、本実証の成果をもとに、地域の街や空港周辺の移動課題の解決として、最新のモビリティ技術を活用した新たな移動手段の提供を検討するとともに、将来的な自動運転技術の空港業務への活用や、顔認証などのシステム連携による、空と地上のシームレスな移動の実現を目指します。
